リヴァプールでのクロップの戦術

ユルゲン・クロップは、ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントで、ゲーゲンプレッシンブのスタイルを用いて、チームを2シーズン優勝に導いた(2010-11, 2011-12)。そして、そのスタイルをリヴァプールでも貫いている。ゲーゲンプレッシングは、何もクロップだけが用いている理論・戦術ではない。シティのグアルディオラ、トッテナムのポッチェティーノ、PSGのトゥヘル、元バイエルンのハインケスといった監督も、クロップとは、プレスの仕方は違えど、ゲーゲンプレッシングを用いている。ゲーゲンプレッシングはまさに流行の戦術の一つと言ってもいい。

ゲーゲンプレッシングとは、何か?簡単に言えば、ボールを失うと、すぐさまチームでボールを奪い返そうとプレスをかける戦術である。では、何故、クロップのリヴァプールが、2017-18シーズンのチャンピオンズリーグで決勝進出まで躍進を遂げたのか?クロップのゲーゲンプレッシングの戦術を見ていきたい。

クロップがよく用いるフォーメーションは4-3-3。
プレスを仕掛ける時には、前線の3人(マネ、フィルミーノ、サラー)がトライアングルの形を作り(写真の通り)、フィルミーノが積極的にプレスをかけ、マネとサラーが相手のパスコースに入る。これにより、相手(説明はマンチェスターシティを想定)は、
①キーパーにバックパスを出すか、
②ロングボールを蹴るか、
③サイドバックがボールを受ける為に下がる。

①の場合は、ゴールキーパーはロングボールを蹴るか、ディフェンダーにパスを出すかだが、ロングボールを蹴った場合、空中での競合いでは、リヴァプールに部がある(シティの選手は足元のテクニックはあるが、空中の競合いは強くない)。
②の場合も、①で説明したように、リヴァプールが有利。
③の場合だが、実は、これもリヴァプールの狙い通りである。ワイドスペース(説明はここから)で相手を囲み(マネ、ミッドフィルダーの選手、サイドバックのロバートソン:写真参照)、スローインに持ち込むか、ロングボールを蹴らせるか、バックパスを蹴らせるか。バックパスをした場合でも、プレッシャーをかけて、ロングボールを蹴らせるか、ミスを誘発させる。リヴァプールは、ワイドスペースまたは、ハーフスペース(説明はここから)で相手を囲み、出来るだけ相手自陣でボールを奪い、すぐさま攻撃に転じるのが狙いである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、中央では、コンパクトに保ち、相手が中央にパスを出せないようにする(また中盤の真ん中の選手は必要に応じて、下がる:写真の通り)。その為、ワイドエリアでプレーせざるを得なくなり、ワイドエリアにパスを出した場合には、ディフェンダーは、ラインを押し上げる。これにより、相手はパスを出せるオプションが限られ、場合によっては、バックパスを出さざるを得ない。

リヴァプールは、相手に思うようにプレーさせない為に、出来るだけコンパクトに保とうとして、縦にも横にも距離を縮める。これにより片方のサイドに大きなスペースが生まれるが、サイドチェンジをさせないよう、そのコースもカパーする(写真の通り)。

自陣エリアで相手が攻撃しかけてきた場合、ワイドスペースはあまり激しくプレスをかけにいかず、コンパクトに保ち、空いているハーフスペースをカバーする。ボールを奪取したら、すぐさまマネとサラーを使って、裏のスペースを攻める。

また攻撃の時には、フィルミーノがフォルス9(偽9番)でプレーする。これは、フォワードの選手がディフェンスとミッドフィルダーの間の位置まで下がる事で(写真の通り)、ディフェンダーがフィルミーノを追うべきか、それとも今いるポジションに留まるべきか、混乱させる。一方、フィルミーノはミッドフィルダーの選手からボールを受けやすく、ドリブルで仕掛けたり、他のフォーワードの2人へパスを供給出来る。また自分でも得点できる。

対戦相手によって、戦術も様々なバリエーションがあるが、大方はこんなところだろうか!?

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