フットボール・スキャンダル

なぜチェルシーはコンテをすぐに解任しなかったのか?なぜブラッターやプラティニは急に逮捕される事になったのか?全ては、国際政治とカネが関係している。

フットボールは素晴らしいスポーツだ。人々に勇気、喜び、感動を与える。だが、その裏では、カネと政治にまみれた世界が今でも存在する。今日はその一部を紹介したい。

2002日韓ワールドカップ
元々2002年の日韓ワールドカップは、韓国の単独開催の予定であった。それを共同開催にしたのは、裏金が関係する。日本が南米の協会に1.5百万ドル(約1億6千万円)を支払ったとスペインのDario Asが報じていた。日本サッカー協会はこれを否定しているが、サッカー協会にそんな力はない。力があるのは、電通である。元々電通はISL(International Sports and Leisure)というスポーツマーケティング会社をアディダスと共同でスイスに設立した。この会社は、FIFA、オリンピック委員会、陸上競技連盟と関係があり、賄賂工作を基に作られた事は、元ISLのCEOである
Christoph Malms(クリストフ・マルムス)が証言している。1995年、電通はISLの株式を売り、売却で得た8億円をISLに戻し、このお金が、日韓共同開催にする為に使われた事を毎日新聞(英語版)が報じた電通は、他にもタックスヘイブン(租税回避地)を利用し、裏金工作をして、東京オリンピックを誘致したと海外メディアが報じた。電通は、時事通信や共同通信の大株主でもあり、こうしたメディアをコントロールし、情報操作をしてきた。今日の日本サッカー協会のポジションに、電通の関係者が入り込んでいる事は、スポンサーのまとめ役(お金集め役)であると共に、次のワールドカップの日本誘致を見据えた行動ともみられる。電通がスポーツ会を牛耳っているのは、まさにこうした工作が一因である。電通が日本代表元監督のハリルを解任に追い込む事も可能なだけの力がある事は容易に想像出来る。ドイツワールドカップでは、視聴率の為に、わざわざ暑い時間帯に試合をさせた事も以前話題になった。お金を儲けて、それを強化目的に再投資すればよいが、それが目的になっては、なかなかサッカーが強くならないわけである。

なぜチェルシーはコンテをすぐに解任しなかったのか?
答えは、チェルシーのオーナーである、アブラモビッチがロシアワールドカップで忙しかったからと推察される。アブラモビッチは、プーチン大統領と親しい仲である為、イギリス当局者からマークされており、チェルシーのオーナーであっても、アブラモビッチにイギリスのビザの許可は下りない。そんなアブラモビッチはロシアワールドカップの誘致に一役買っていた。

2010年12月、2018年と2022年のワールドカップ開催地を同時に発表するという全体未聞の試みがなされた。2018年はロシアに、2022年はカタールになった事は、ご存知の通りである。これに際し、アブラモビッチは、カタールとの天然ガス採取プロジェクトの大型契約を利用して、2018年はロシアでワールドカップを、2022年はカタールでワールドカップを開催するように、上手く入札の調整を計っていた。それだけでなく、南アフリカでFIFAのブラッター元会長と密談をしていたのだ (The Guardian)。また、アブラモビッチはロシアワールドカップの為のスタジアム建設費用約5億ポンド(約650億円 / 1ポンド=135円計算)を支払う用意もあった。アブラモビッチがここまで根回しをしたのは、ソチオリンピックの開催が決まっていた勢いのあるロシアで、ワールドカップ候補地として立候補し、もし仮に敗れて、プーチン大統領の名誉に泥を塗るよう事はあってはならなかったからである。

こうして、ロシアワールドカップ期間中も忙しくしていたアブラモビッチは、チェルシーにまで手が回らなかった事が間接的な理由でもある(もちろん、次期監督候補とされていたサッリとの事前交渉などもあった事と思う)。

*カバーの写真は、2010年、南アフリカで行われたワールドカップの入札博覧会でのアブラモビッチとデビッド・ベッカム(イギリスは2018年のワールドカップ開催候補地として応札し、ベッカムを使って誘致しようとしていた)

なぜブラッターが急に捕まったのか?
簡単に言ってしまえば、2022年はアメリカでワールドカップを開催する事が裏では決まっていたが(表向きは投票で決められる)、ブラッターがカタールの皇太子とランチをして、意見を変え、2022年の開催地をカタールにした事で、アメリカの怒りを買ったのだ。ましてや、トランプ政権前のアメリカで、かたや2018年のワールドカップがロシアで開催されると決まれば、その怒りは一層大きかったに違いない。入札結果発表前には、当時のオバマ大統領がブラッターに直接電話して、アメリカ開催の可能性について聞いたが、ブラッターはアメリカが2022年の候補地になる事は難しいと伝えていた。だが、賄賂にまみれたFIFAのEXCOメンバー(執行委員)をアメリカが血祭りに上げるのは簡単な事だった。94年にアメリカワールドカップを開催し、近年サッカーに力を入れているアメリカとしては、アメリカで再びワールドカップを開催する事は必須だったが、ブラッターはアメリカを軽視しすぎたのだ。そして、ご存知の通り、2015年ブラッターやプラティニを始めとるする、FIFAの役員達はFBIに訴えられ、処分を受ける一方で、2026年のワールドカップの入札は、この影響で一時中断を余儀なくされた。そして、最終的には、2026年のワールドカップ開催地は、カナダ、アメリカ、メキシコの共同開催となる事が決定された。

参考)
本: Player and referee: conflicting interests and the 2010 FIFA World Cup 他