戦術: ゲーゲンプレス(カウンタープレス)

ゲーゲンプレス(カウンタープレス)で、有名な監督の1人は、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督だろう。2018年6月15日の記事でクロップの戦術を説明した時に、「ゲーゲンプレスとは、何か?」を簡単に説明した。ボールを失うと、すぐさまボールを奪い返そうとプレスをかける戦術である。今日はもう少し一般的な説明をしたいと思う。

なぜゲーゲンプレスが重要なのか?
ディフェンスを安定させる
ディフェンスを組織するために後退(リトリート)すると、その分、相手チームは前進する事が出来る。またディフェンスの組織が不十分だと、スペースを与え、危険な攻撃にもつながる。ゲーゲンプレスは、ボールを持っている相手チームを後退させようとし、相手のカウンターアタックを防ごうとする。

すぐに攻撃に移る事ができる
ゲーゲンプレスの利点は、通常高い位置で、攻撃陣形が整った状態でボールを奪う事である。その為、ボールを奪うと、すぐさま攻撃に移れる。また、相手チームは、攻撃への移る段階で、パス回しのために、ディフェンスがワイドになっている場合があり、そのスペースを利用して攻撃できる。クロップは、ゲーゲンプレスが、世界最高のプレーメーカーと呼んだのもそういう理由である。

ゲーゲンプレスの弱点
ダイレクトでパスをつながれた時にボールを奪い返すのは難しい。ロングボールではなく、浮き玉(ロブ)を使われた場合も難しい。チャンピオンズリーグでレアルがリヴァプール相手に使っていた。

ゲーゲンプレスの原則
・ゲーゲンプレスは、チームの全体的なポジショニングが重要となる。また、ピッチ中央をブロックする事が大事になる。なぜなら、ピッチの中央では、パス、視野において、より多くの選択肢があるからである。
・ボールを失ってから、5~6秒は最も高い強度(インテンシティ)でボールに向かう。ボールを持っている選手をパニックにさせ、出来るだけ早く、高い位置でボールを奪い返す。

スピードを加速させて走るタイミングは次の通りである。
バックパス
遅いパス
ボールコントロールミス
ボールを持った選手が自陣のゴールの方向を向いている場合
ボールを持った選手が利き足ではない方でボールを持っている場合
・相手選手がバランスを失った時
ターゲットとなる選手にボールが渡った時(相手チームの弱点となる選手)
ターゲットとなるゾーンにボールがある時(チームにとって危険でない場所)

リヴァプール対トッテナム戦

ゲーゲンプレスの種類
囲い込むパターン(クロップのドルトムント、リヴァプール)
ボールを持っている選手に、3~4人の選手が違った方向から一斉にプレスをかける事で、相手選手には、限られた時間とスペースしかなく、パスコースも限定される。これにより、相手選手のミスパスを誘発させる。ロングボールを蹴らせることもオプションの1つである。ターゲットとなるゾーンや選手へパスが出された時にプレスを仕掛けるように決められている場合もある。このプレスは、相当のフィジカルが必要になる。
(トッテナム戦では、ダイアーへ一斉にプレッシャーをかけ、バックパスをサラーがカットして、攻撃につなげていた。)

 

 

リヴァプールの場合、写真のように、相手陣内の高い位置にボールがある場合、前線の3人で、相手の5人の選手をカバーするのがポイントである。キーパーがボールをキープし、ロングボールを蹴らせるのは、リヴァプールの狙いの1つでもある。

相手がピッチ中央に攻め上がってくると、上記のプレスに切り替える場合がある。

 

 


人に対してつくパターン(ハイケンスのバイエルン)
ボールを失うと、すぐさま近くの選手がプレッシャーをかけ、バックパスか、横にパスを蹴らせるのが狙いである。これにより、味方のチームが元の位置につく時間を与える。また、相手のミスを誘発させる。他の選手は相手の選手をマークする。

 

 

パスコースへ入るパターン
(グアルディオラのバルセロナ、マンチェスターシティ)

ボールを持っている選手に周りの選手がプレッシャーをかけ、わざとパスを出させる。そのパスをカットするのが狙いである。この時あえて、望まない方向(縦方向へのパスを防ぎ、バックパスか、横へパス)に蹴らせる。アーチ型にプレッシャーをかけることでパスするコースを限定する事が出来る。フィジカルはそこまで必要ないが、プレーを読む能力が必要になる。

 

 

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